ここ数年、底地(借地権が設定された土地)への関心が急速に高まっています。安定的な収益が期待できるとして、REITが投資することも珍しくありません。理屈の上では、自ら利用できない分、底地の価格は更地を下回るはずですが、最近では逆に上回ることもあるそう。日経不動産マーケット情報2019年2月号の特集では、昨年1年間の売買事例を振り返り足元の投資環境を分析していますが、底地投資がドライバーの一つとなり、不動産取引総額(本誌報道ベース)に占める「土地」の割合が前年比10ポイント増の15%となりました。39%の「オフィス」に続く2番手です。優良な投資案件が減るなか、底地は今後も注目のアセットとなりそうです。特集ではほかにも、大型取引の一覧や、REITによる売買の推移、オフィスビルの取引単価・利回りなど、多面的に市場を分析しています。ぜひご覧ください。

 四半期ごとに実施しているオフィスビル成約賃料調査の結果も、2月号に掲載しています。オフィスの大量供給が続く東京では以前、市況悪化を懸念する「2018年問題」がささやかれていたものの、蓋を開けてみれば企業のオフィス需要は旺盛で、まったくの杞憂に終わりました。成約賃料はじわじわと上昇しています。新規供給が限られる大阪でも賃料が上昇中。調査では東京、神奈川、大阪のオフィスエリア28カ所の成約水準を個別にまとめていますので、ご確認ください。

 売買レポートは、阪急阪神リート投資法人が約158億円で持分5%弱を運用資産に組み入れたグランフロント大阪や、日本商業開発の私募REITが153億円で取得した底地11物件、125億円で売却予定のアイネス本社ビルなど、23事例を収録。これらを含む取引事例143件を一覧表にまとめています。


 日経不動産マーケット情報では、書籍「不動産テック 巨大産業の破壊者(ディスラプター)たち」を発刊します。不動産市場に切り込むテック企業の動きや興亡、その影響をひもときます。日経BP SHOPおよびAmazonなどにて予約受付中。1月下旬には書店に並びますので、ぜひお手にとってみてください。

三上 一大