不動産証券化協会の集計によると、2019年1月末時点で上場REITが運用する物流施設は、取得価格ベースで2兆7227億円。REIT運用資産の15%を占めます。オフィスビル、商業施設、住宅に次ぐ第4位のポジションですが、住宅との差はわずか24億円。近年の勢いを考えれば、住宅を抜くのは時間の問題でしょう。急速にコア資産化する物流施設に続き、ネクスト・コアとして期待されるのがデータセンターです。日経不動産マーケット情報2019年4月号は、不動産投資としてのデータセンター市場について解説しました。爆発的なIPトラフィックの増大を背景にデータセンター需要はうなぎ登り。物流施設との類似点も多く、今後、投資対象として急浮上しそうです。ぜひ記事をご覧ください。

 景気の先行きは不透明感が漂い始めましたが、足元のオフィス市況は絶好調。4月号に掲載した東京の新築オフィスビルの稼働率調査によると、2019年3月~2020年4月に完成する24棟のテナント内定率は81%にも達します。なかでも2020年に完成する8棟については4棟がすでに満室に。やや立地が劣る物件にもテナントが付いており、オフィスニーズの底堅さがうかがえます。記事では、個別ビルのテナント決定状況をグラフにしていますので、ご確認ください。

 売買レポートは、京王電鉄と傘下のリビタが英グロブナーから150億円超で取得した賃貸マンションや、高級ブランドが出店する銀座のビルをいちご地所が取得した事例、大和ハウスリートが670億円を投じた13物件の取引など、記事26本を収録。これらを含む取引事例138件を一覧表にまとめています。

 さて、小誌が1月末に発行した書籍「不動産テック 巨大産業の破壊者(ディスラプター)たち」は各方面からご好評いただき、このたび2度目の増刷が決定しました。ITで先行する米国では、すでに不動産テック企業と伝統的な不動産会社とがせめぎ合い、業界絵図が塗り替えられる場面が見受けられます。日本でも、突如現れたテック企業が市場を席巻する日がやってくるかもしれません。書店でぜひお手にとってみてください。

三上 一大