日経不動産マーケット情報2015年11月号は、定点観測ポイントとしている日本一の商業エリア、銀座を特集しました。外国人観光客の増加を背景に、同エリアではホテルの開発が活発化しています。これまで店舗立地としては人気がなかった土地がホテル用地として再評価され、地価押し上げの一因となりました。一方、リテール分野でもアパレルを中心に出店意欲は旺盛。あのニトリが銀座に出店したことも大きな話題になりました。店舗賃料は上昇中で、将来のキャッシュフロー増加を期待する長期投資家が、2%台という低いキャップレートで店舗ビルを手中に収めています。どこでどのような取引事例や開発計画があるのか、特集で地図と表にまとめていますので、ぜひご確認ください。

 ここ数年、オフィスビルの価格上昇も顕著ですが、市場の好調ぶりはいつまで続くのでしょうか。日本不動産研究所はこのたび、過去15年間の取引事例や経済指標を基に、不動産市場の今後の推移を予測しました。それによると、丸の内・大手町にあるオフィスビルのキャップレートが下げ止まるのは2016年6月。3.6%を底として、その後は横ばいで推移し、オリンピック後に緩やかに上昇していくシナリオです。あくまでもトレンドを示すものですが、本誌11月号では、このように予測した背景について、同社の横尾崇尚(よこおたかなお)金融法人室長に解説してもらいました。インタビュー全文をウェブサイトにも掲載します。

 本誌が四半期ごとに実施している売買事例分析も、11月号に掲載しました。今回は2015年7月~9月に収集した事例が分析対象。件数は前年同期比4割増と、ここでも活況な市場が浮き彫りになっています。個別取引の利回りを本誌で推定しており、上位には3%~4%台の取引がずらりと並びました。前出の横尾氏へのインタビューと併せ、市況を読む材料としてご覧ください。

 なお本誌では、市場の今後の見通しについて解説する特別セミナーを10月27日(火)に開催します。野村証券の福島大輔マネージング・ディレクター、コクヨの山下正太郎WORKSIGHT編集長、本誌の岡泰子記者を講師に迎え、不動産市場の現況と未来を読み解きます。詳細はこちらまで。

 11月号ではほかにも、東京・横浜・大阪のオフィスビル成約賃料調査や、企業移転ニュースを掲載。売買レポートでは、アゼルバイジャン政府系ファンドが523億円で購入したKIRARITO GINZAや、三井不動産プライベートリート投資法人が300億円で取得したアーク八木ヒルズなど、25案件を収録しました。これらを含む取引事例112件を一覧表にまとめています。