ヒューリック ドリーム
ヒューリック ドリーム
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 ヒューリック成長の原動力となったのが、外部からの人材採用だ。「ヒューリック ドリーム」(西浦三郎著、日経BP社発行)のなかで西浦氏は、社長就任当時の取り組みを次のように記している。

 「フラットな組織をつくる一方で、社外からプロの採用を進めた。銀行員の多くは財務分析や経済知識は豊富だが、建築・不動産関連の資格を所持していない。そんな銀行員ばかりいても、強い不動産会社にはなれない。ビルの建て替えを中核事業に据えるにしても、何から手を付けたらいいか銀行出身者の集団ではわからない。そこで不動産や建築のプロを採用することにした」

 西浦氏が最初にスカウトしたのが、大成建設でプロジェクト開発部部長を務めていた古市信二氏(現ヒューリック取締役専務執行役員)だ。ヒューリックは技術者の多い不動産会社として知られているが、その基盤を築いたのが古市氏だ。その古市氏が語る。

 「2006年、西浦さんから『これまでの日本橋興業は売る不動産屋だった。これからは買う不動産屋になる。でも不動産のプロがいない。まったく新しい不動産会社をつくるので、ぜひ来てほしい』と声をかけられた」

 「当時の私は大成建設本社プロジェクト開発部の部長で、それなりに責任のある立場だった。突然の話でもあり、『私の一存でハイとは言えません』と答えた。すると西浦さんは大成建設の社長を訪ねて話を通した。日本橋興業は小さな会社で、大成建設には『本当にいいのか』と言う人もいたが、私は会社が許すなら行くつもりでいた。西浦さんの『上場して、こんな会社にしたい』という熱意を重く受け止めたからだ」

 「売上高がまだ300億円に満たないころ、西浦さんは「10年後に経常利益を
300億円にする」と宣言した。『売上高300億円の間違いじゃないか。どうしたら、そんなことができるんだ』と思ったのだが、10年しないうちに本当に実現した。『この人ならやるだろう』という見立てに間違いはなかった」

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