日経不動産マーケット情報が把握した2020年の大型不動産取引を金額順に紹介する。1位となった住宅ポートフォリオの取引をはじめ、3位、9位に顔を出した米ブラックストーン・グループが存在感を放つ。世界的な感染拡大の影響で市場全体での取引件数は減少傾向だが、こと大型物件の動きを見る限り、内外の投資家はますます意気軒昂のようだ。
1位【約3000億円】安邦保険集団の住宅ポートフォリオ [限]安邦の住宅ポートフォリオを買い戻し、ブラックストーン
米ブラックストーン・グループは、日本国内の賃貸マンション220棟を入札で取得した。中国の安邦(アンバン)保険集団に対して2017年3月に売却した、物件ポートフォリオを買い戻した形だ。価格は非公開だが、約3000億円とみられる。 [全文]
2位 【1700億円】 新宿三井ビルディング [限]新宿三井ビルディングなどを2170億円で取得、NBF
日本ビルファンド投資法人(NBF)は、新宿区西新宿2丁目の新宿三井ビルディングと、千代田区丸の内1丁目にあるグラントウキョウサウスタワーの一部を取得する。取得総額は2170億円だ。[全文]
3位 【約1100億円】 ルーシッドスクエア五反田など18物件 [限]ブラックストーンが18物件、PAGから1100億円で
米ブラックストーン・グループが2020年10月、約1100億円で取得した国内不動産ポートフォリオの詳細が判明した。[全文]
4位 【約998億円】 大手町パークビルディング [限]998億円で大手町パークの一部売却、三菱地所
三菱地所は、大手町パークビルディングの一部を約998億円で売却する。譲渡先はNorges Bank Investment Managementが出資する東京MN1特定目的会社、上場REITのジャパンリアルエステイト投資法人、私募REITである日本オープンエンド不動産投資法人の3者だ。[全文]
5位 【約980億円】 みなとみらいセンタービル [限]みなとみらいの大型オフィスを取得、ゴールドマン
ゴールドマン・サックスのSPCが、横浜市西区のみなとみらいセンタービルを取得したことがわかった。地上21階建て、延べ床面積約10万m2の大型オフィスビルで、売り主は香港の大手不動産ファンド運用会社、ガウ・キャピタル・パートナーズのファンドだ。価格は980億円程度とみられる。[全文]
8位 【589億円】 MFLP茨木 [限]774億円で2物件を取得、MFLP投資法人
三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)投資法人は、いずれも満室稼働中の物流施設2物件を取得する。価格は合わせて774億円だ。[全文]
9位 【約550億円】 DPLつくば阿見など4物件 [限]550億円で物流4棟、ブラックストーンが大和ハウスから
米ブラックストーン・グループは、大和ハウス工業から国内の物流施設ポートフォリオを取得した。内容は非公開だが、本誌の取材により構成が判明している。[全文]
10位 【500億円超】 溝ノ口物流センターなど4物件[限]500億円超で日通から4物件、プロロジスの私募ファンド
プロロジスは、物流施設を投資対象とするクローズドエンド型私募ファンド、Prologis Japan Core Logistics Ventureを組成し、2020年4月~2021年3月に4物件、総延べ床面積約19万6000m2を取得する。取得価格は合計500億円超。プロロジスと国内大手機関投資家による出資金と、銀行からの借り入れで賄う。売り主は日本通運だ。[全文]
11位~20位
- 11位 【490億円】 フォーシーズンズホテル&ホテルレジデンス京都
[限] フォーシーズンズ京都を490億円で売却、マレーシア企業 - 12位 【470億円】 グラントウキョウサウスタワー
[限] 新宿三井ビルディングなどを2170億円で取得、NBF - 13位 【412億2300万円】 ジャパンディスプレイ白山工場
- 14位 【約390億円】 ESR久喜ディストリビューションセンター
[限] 390億円でアマゾン入居の物流施設、AXAなどのファンドが取得 - 14位(同順) 【約390億円】 松下IMPビル
[限] 大阪OBPの8.5万m2、ローンスターから香港ガウへ - 16位 【350億円超】 麹町大通りビル
[限] 麹町の2.4万m2をユニゾから、グリーンオーク - 17位 【約330億円】 御堂筋フロントタワー
[限] 御堂筋のWeWork拠点を取得、M&Gがラサールから - 18位 【326億円】 DPL流山Ⅰ
[限] 708億円で3物件を取得、大和ハウスリート - 19位 【322億円】 ロジポート川崎ベイ
[限] 765億円で物流施設4物件、ラサールロジポートが取得 - 20位 【310億円】 プロロジスパーク千葉1
[限] 593億円で3物件を取得、プロロジスリート
その他の取引
現時点で価格は明らかでないもののの、人目を惹いた取引はほかにも多い。ユニゾホールディングスの買収劇は2020年4月、米ローンスターからの借入を元手とするEBO(従業員による買収)で決着した。
[限]【売買】ティファニー銀座本店ビルを取得、ヒューリック
合同会社紀伊国橋インベストメントは2020年2月、中央区銀座2丁目のティファニー銀座本店ビルを取得した。同社は国内のオフィスや商業施設を主な投資対象とする不動産ファンドのSPC。適格機関投資家2者が出資しており、うち1者はヒューリックだ。[全文]