2016年12月に公表された「平成29年度税制改正大綱」と「国土交通省税制改正概要」から、住宅・土地に関する税制改正案2例の影響を考察する。第1はタワーマンションの固定資産税についてで、上層階を増税し、下層階を減税するものだ。この改正がそのまま相続税評価額に反映しても、タワーマンションの市場価格と相続税評価額の大きなかい離への影響は軽微だ。ただし、2018年度税制改正の内容次第ではタワーマンションによる節税策に大きな影響を与える可能性も残る。第2は長期保有土地などにかかる事業用資産の買い替えの場合の課税繰延の延長だ。10年超保有した土地を譲渡し、新たに事業用資産を取得した場合、譲渡資産の譲渡益の所得税または法人税の課税の繰延を認める特例措置を3年間延長する。国土交通省は、これまで特例措置の適用を受けた法人の4分の3が中小企業だったことから中小企業の設備投資促進による生産性向上に寄与し、8割以上が地方関連だったことからアベノミクスの効果を地方へ波及させるのに役立つとしている。