【分析】REIT市場におけるスマートベータの有用性を検証、三井住友トラスト基礎研
時価総額加重型の指数は市場の動きを示す指標として伝統的に使われており、同指数に連動した投資信託などの運用商品が多数存在している。しかし、相対的にパフォーマンスが低くなる傾向がある大型銘柄や割高銘柄に偏った銘柄構成となるため、同指数に連動した運用で十分に高いパフォーマンスを得ることは難しい。このため、市場の動きを通じたより効率的な収益獲得の方法として、近年は時価総額荷重型以外の指数構成方法を使ったスマートベータが注目を集めている。ただし、REIT市場におけるスマートベータの活用はまだ限定的だ。そこでREIT市場におけるスマートベータの有用性を検証するため、代表的なスマートベータ型指数の過去のパフォーマンスを確認した。この結果、長期(18年間)の累積リターンは、「リスク配分均等型>最小分散型>等金額型>低ボラティリティ型>最大シャープ・レシオ型>ファンダメンタル型>時価総額型」の順に高く、平均リターン、標準偏差、シャープ・レシオなどはスマートベータ型が時価総額型をおおむね上回る結果となった。ただし、2008年や2020年の相場下落時には時価総額型以上に下落する指数も複数見られるなど、注意すべき点もあった。REIT市場においてスマートベータを使うことで時価総額型指数に連動した運用を行う際の課題を解決し、ベンチマークを上回る収益を獲得できる可能性を確認できた。工夫を重ねることでさらに改善することも可能だろう。
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