不動産証券化協会によるアンケート結果から、国内年金による不動産投資実績と検討状況を調べた。私募REIT(不動産投資信託)へ投資済という回答が2016年に顕著に増加している。私募ファンドへ投資済との回答は2014年までは最も多かったが、その後はファンドの償還に伴って投資が減少している。流動性の低さと終了時点での市場リスク懸念から、主要な投資形態が不動産私募ファンドから私募REITに代わってきている。なお、実物不動産への投資も減少。実物不動産への投資はREITやファンドなどの投資手法が確立する前のものと思われるが、長期にわたる賃料収入と昨今の価格上昇により、投資額がある程度回収可能となり、売却に至ったと推察できる。海外不動産への投資については、海外REITが減って海外私募ファンドが増えている。国内で提供されている海外私募ファンドの多くは、国内私募REITと同様、定期的に換金のタイミングがある永続運用型のオープンエンドファンドで、不動産評価額から持分価格を算出する。このため、海外REITと比べて価格変動幅が小さいことが選好される理由となっている。仕組みが似ている国内私募REITの普及も海外私募ファンド投資の増加に寄与していると考えられる。