REITの2019年12月末時点の不動産キャップレート(全用途・加重平均値)は4.51%と、ファンドバブル期の最低値(2007年11月:4.66%)を下回っている。不動産キャップレートは、リーマン・ショック後の2009年8月までは上昇が続いたが、その後は下落トレンドとなっている。特に2013年4月に開始された量的質的金融緩和以降は下落幅が大きくなり、同金融政策開始時点から現在までの下落幅は76bpsだ。一方、不動産キャップレートと10年物国債利回りの差であるイールドギャップは同期間で14bpsの下落と、おおむね横ばいを維持している。不動産キャップレートが下落したにも関わらず、イールドギャップが横ばいである理由は、10年物国債利回りの大幅な下落だ。日本銀行による量的質的金融緩和を背景に、同期間の10年物国債利回りの下落幅(63bps)は不動産キャップレートの下落幅と同程度となっており、この結果として2019年12月末時点のイールドギャップは4.54%の水準(10年物国債利回りは-0.025%)となっている。