【分析】物流施設市場の地域格差に注視が必要、ニッセイ基礎研
首都圏では2018年と2019年に年間250万m2を超える大規模物流施設の大量供給が予定されている。地域別で見ていくと、「東京区部内陸」と「横浜市」での新規供給は比較的少ない。しかし、これらの地域は人口集積の観点からパート従業員の確保が比較的容易で、かつ輸送費削減の観点から消費地への近接性を優れており、物流拠点として有望なエリアだ。現在予定されている新規供給量では旺盛な需要に追いつかず、エリアの需給は逼迫する公算が高い。一方、大量供給が予定されている「千葉西北部」や「埼玉北部」などは、これまでは圏央道の開通による交通利便性の向上や、首都圏の中では賃料水準が比較的廉価などの要因から3PL(サードパーティーロジスティクス)企業を中心に需要が堅調だった。しかし、大消費地である東京中心地まで距離があって輸送費の増加が懸念されることや、鉄道駅まで距離がある地域も多く通勤利便性にやや劣ることなどから、人手不足に伴い3PL企業を中心した需要は弱含み、大量供給と相まって需給が緩む懸念がある。今後も人手不足が継続することで、エリア・立地による需給格差が拡大する可能性があり、注視が必要だろう。
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