REITの業績に対する過度な懸念が和らぐ一方で、収益の源泉となる不動産賃貸市場は先行きの不透明感が強い。運用資産の4割を占めるオフィス市場は2020年から調整局面に入り、ホテル市場も宿泊需要が蒸発して厳しさが増している。そこで、今後5年間の1口当たり分配金(DPU)の成長率を試算してみた。その結果、DPU成長率は5年間で+12%(年率2.4%)となり、回復が期待できることがわかった。2021年はおおむね横ばいで推移するが、2022年以降は成長率が高まる。ただし、成長ドライバーは新型コロナウイルスの感染拡大によって落ち込んだホテルや商業施設の収益回復と、保有オフィスビルの賃料ギャップ(継続賃料<市場賃料)だ。特に賃料ギャップは、足もとの市場軟化で想定以上に縮小している可能性があることに注意したい。