REIT(不動産投資信託)などの不動産投資家が投資対象とする高機能な大規模物流施設はインターネット通販の貨物を扱う配送センターとして利用されることが多い。このため、物流施設投資の見通しを立てるにあたり、ネット通販の現状を把握することは必須といえる。ネット通販市場は、利用率の上昇と支出額が多いミドル・シニア層の拡大に支えられ、今後も成長は続けると思われる。ただし、ラストワンマイルを支える宅配便における深刻な人手不足などが阻害要因となり、市場の成長スピードが鈍化することも懸念される。さらにネット通販の拡大によって物流施設に求められる条件も変化している。例えばネットスーパーの市場拡大に伴って最終消費者に直接貨物を運ぶ配送センターが増え、消費地の近くに立地する中小規模で温度管理が可能な物流施設へのニーズが高まる可能性がある。これまで以上に設備や立地条件で物流施設ごとの需給格差が拡大する可能性があると思われる。