2016年のMIPIM(ミピム)は、4日間の日程を終えて3月18日に閉幕した。経済環境が不安定さを増すなか、参加者の減少を危惧する声もあったが、蓋を開けてみれば昨年比10%増の2万3500人が仏カンヌに集まった。主催者のリードミデムも胸をなで下ろしたことだろう。参加者のうち4800人が年金基金、ファンドなどの投資家層だった。

 投資アピールの場として、世界中から政府、自治体の要人が訪れるのもMIPIMの特徴だ。今年はポーランドとルクセンブルクの副首相、ロシアの住宅・建設相などが来場。昨年11月の同時多発テロに見舞われたパリからは、市長のアンヌ・イダルゴ氏が訪れ、14の再開発プロジェクトを含むパリ大改造計画への参加を投資家層に呼びかけた。フランスのエマニュエル・マクロン経済相は「“France is back!”がMIPIM参加者へのメッセージだ」と語った。

会場外の参加者(写真:V. DESJARDINS / IMAGE & Co.)
会場外の参加者(写真:V. DESJARDINS / IMAGE & Co.)
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メディアのインタビューを受けるパリ市長のアンヌ・イダルゴ氏(写真:S. d'HALLOY / IMAGE & Co.)
メディアのインタビューを受けるパリ市長のアンヌ・イダルゴ氏(写真:S. d'HALLOY / IMAGE & Co.)
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 一方で、誰の目にも明らかだったのはロシアのプレゼンス低下だ。クリミア危機後の経済制裁と原油安のダブルパンチを受け、街でも金離れが良いと評判だった同国からの参加者は減少した。各国のブースの大きさ、会場で聞こえる言語などを通じて、世界経済の動向をビビッドに感じることができるのもMIPIMの良さである。