年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は4月11日、オルタナティブ資産の運用機関公募を開始した。同法人のマネジャー・エントリー制度を活用したもので、以前から募集してきたプライベートエクイティ(PE)、インフラに加えて、今回不動産分野が新たな募集対象に加わった。総額約145兆円を運用する公的年金にとって、不動産投資参入への大きなステップとなる。

 ウェブサイトに公開された募集要項によると、不動産の運用スタイルは海外(主に先進国)を投資対象とする「グローバル・コア型運用」と、日本国内向けの「ジャパン・コア型運用」の2種類。いずれも私募商品を対象としており、上場REIT(不動産投資信託)は対象外だ。応募企業はGPIFと投資一任勘定契約を結び、専用のアカウントを設定した上で、複数のファンド(GP)に投資することが求められる。

 GPIFはその基本ポートフォリオにおいて、総運用資産の5%を上限に、これらオルタナティブ資産に投資できると定めている。これまで不動産投資の実績はないながら着実に準備を進めてきており、2016年10月には不動産を含むオルタナティブ投資に関わるコンサルティング業務の募集を実施。今年2月には三井不動産出身のベテラン、山田秀人氏をオルタナティブ投資室の企画役不動産担当に採用している。民間出身のエキスパートを中心とする同室のメンバーは10人。このうちPEとインフラにそれぞれ3人、不動産担当として4人が在籍している。

 応募企業は金融商品取引法の投資運用業登録が必要なため、海外企業などで未登録の場合は別途免許を持つゲートキーパーと手を組む必要がある。審査開始は6月1日からで、GPIFはその後も期限なく応募を受け付ける。応募状況を見ながら何社を選ぶか、いつから運用を開始するかなどを今後検討する。

 本件に関して、4月17日に説明会を実施する予定だ。参加申し込み締切は4月14日朝10時まで。



訂正:2017年4月12日
山田氏の肩書を修正した。