2020年10月~2021年4月の新型コロナウイルス感染拡大期に東京エリアの不動産の資産価値がどのように変化したかを、キャッシュフロー(CF)要因とキャップレート要因に分けてアセットタイプ別に確認した。オフィスは、テレワーク普及などで賃貸スペースの解約が顕在化しつつあり、資産価値が下落に転じている。契約更新時に退出やスペース縮小をするテナントが発生し、その後のリーシングが芳しくないために新規成約賃料が軟調になってCFがマイナスに転じたことが、資産価値下落の主要因となっている。ただし、同期間にキャップレートの上昇は観測されず、賃貸市場は弱含んだが、投資家の投資姿勢に大きな変化は見られない。CFとキャップレートのこうした関係は住宅、都心商業施設、ホテルも共通。ただし、コロナ禍によるCFへの影響は異なり、住宅は影響が小さく、都心商業は回復が道半ば、ホテルは大幅下落が続いている。状況が唯一異なるのが物流施設で、EC(電子商取引)市場の拡大もあってCFが上昇。キャップレートも投資家の強気姿勢を反映して低下し、資産価値の上昇が続いている。コロナ禍による資金調達環境への影響は限定的なため、投資資金は引き続き潤沢で投資意欲は旺盛だ。賃貸市場が悪影響を少なからず受ける状況で、投資家はCFへの悪影響が小さい物件や今後の成長が見込める物件などを見定め、割安な投資機会をねらっているといえる。資産価値の今後の方向性は不透明な部分が多いものの、足元の投資家行動から察するにコロナ禍収束まで(国内では2021年中を想定)は、資産価値の下落率は最大でもCFと同程度に留まるだろう。コロナ禍収束後はCFの成長性を見極めつつ、おおむねCFを上回る上昇率が予想される。

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