主要5エリアの1階の募集トレンド

 銀座、原宿・表参道、新宿、渋谷、大阪・心斎橋の5エリアの募集賃料をみると、銀座エリアが最も高い月坪賃料を形成する。銀座・表参道エリアはブランド路面店が賃料を形成するエリアであり、ブランド出店の勢いの強弱で賃料の上下動も比較的大きい。

 一方で新宿、渋谷エリアについては、1日当たりの乗降客数の多いターミナル駅で集客が安定しているため賃料推移も安定性があり、賃料・件数ともに概ね横ばいで推移してきた。

 長期トレンドをみると、リーマンショック後の2008年秋以降下落に転じ、2011年3月には東日本大震災などの影響もあったが、2012年下期以降、回復している。

 新型コロナウイルスの影響が2020年第3四半期から各エリアで出ており、閉店や募集物件が急増している。新宿、銀座は賃料低下。表参道や渋谷、心斎橋は賃料が上昇しているが、これはメインストリートなどこれまで水面下で決定していた優良物件が募集に出てきているためであり、賃料上昇の見方とはならない。心斎橋ではこれまでにみられない空室増加となっており、インバウンド需要が多い少ないでエリア間・エリア内でも好不調の差が出ている。プライムエリアと言われる超一等地では賃料は維持しているが、裏手では長期空室が続くなど賃料は弱めとなっており、これはリーマンショック時も同様の傾向であった。

 2021年に入り賃料は下げ止まり、件数増加も天井を打った感もみられる。ポストコロナを見越し出店に前向きな声も聞かれるようになってきた。しかし、供給に対し、需要はすぐに追いつかず、当面は弱めの賃料トレンドが続くと考えられる。

主要5エリアにおける1階の募集賃料トレンド(期間:2008Q1~2021Q1)
主要5エリアにおける1階の募集賃料トレンド(期間:2008Q1~2021Q1)
(資料:ビーエーシー・アーバンプロジェクトの資料を基に日経BPが作成)
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主要5エリアにおける1階の募集件数の推移(期間:2008Q1~2021Q1)
主要5エリアにおける1階の募集件数の推移(期間:2008Q1~2021Q1)
(資料:ビーエーシー・アーバンプロジェクトの資料を基に日経BPが作成)
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主要5エリアにおける1階坪単価の2008年を1とした指数推移(期間:2008Q1~2021Q1)
主要5エリアにおける1階坪単価の2008年を1とした指数推移(期間:2008Q1~2021Q1)
(資料:ビーエーシー・アーバンプロジェクトの資料を基に日経BPが作成)
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<訂正:2021年6月18日11:05> 1段落目の記載に誤りがありました。「次いで表参道となる」を削除します。