2022年10月以降、インバウンドの増加や新型コロナウイルス対策の行動制限の解除など、マーケットは急速に回復に向かっている。

 伊勢丹新宿店やGINZA SIX、六本木ヒルズといったラグジュアリーブランドが売上をけん引する百貨店や商業施設は、過去最高の売上を記録した。また、2022年秋以降は、各地で新規店舗やポップアップストアの出店などがみられるようになってきており、インバウンド客の急増もこうした動きに拍車をかける。特にインバウンド客への依存が高い地区では、物件を抑えにかかる動向がみられるようになってきた。

 募集件数は高止まりが続くエリアがある一方、従来の賃料水準に戻らないエリア・ストリートもみられる。銀座・中央通りや晴海通り、表参道、新宿通りといったプライムロケーションは高水準を維持またはコロナ前を上回る事例も聞かれるが、小資本の個人店から形成されるストリートや回遊動線の外れた立地では空室が続くなど二極化している。

 空中階については依然としてサービス店は堅調で、飲食店は出店もみられるようになってきているものの、緊急小口資金や総合支援資金(初回貸付)の償還が、2023年から順次始まり、今後退店が進む可能性もある。

■東京・大阪の主要商業エリアの賃料・募集件数の推移(2023年第1四半期)
フロア区分 銀座 表参道 新宿 渋谷 心斎橋
募集賃料
(円/坪)
全フロア 42,472 42,304 37,606 36,695 24,420
1F 73,213 52,335 53,376 52,716 36,718
1F以外 35,502 36,229 34,464 33,084 21,352
募集件数 全フロア 411 508 215 196 366
1F 74 178 42 40 80
1F以外 337 330 173 156 286
スタイルアクトが提供するReRemによる集計

ビーエーシー・アーバンプロジェクト