2023年1月~6月の訪日外国人数は約1071万人と、通年では2000万人を超える可能性が高くなっている。インバウンド期待の出店がみられる心斎橋、銀座、新宿、渋谷、および主要観光地などでは賃料マーケットについてもしばらくは上向きと予想される。すでに2023年第2四半期は、5エリアすべてにおいて1階の募集賃料がコロナ前を上回っている。

 銀座・新宿・表参道のブランドストリートではラグジュアリーブランドや高級時計店、ジュエリー店などの出店が水面下で決定。複数テナントから出店希望が出るケースもみられる。当面はブランドストリートの賃料は、高水準が続くと思われる。一方で、裏手立地などでは弱さが残るなど二極化が進行すると思われる。表参道・原宿エリアも募集件数はいまだ多い状況で、ファッションテナントの出店の弱さが継続している。渋谷では長らく空室であった公園通り沿いの物件の仮設利用が促進されるなど復調傾向にある。

 心斎橋ではラグジュアリーブランドの出店が強い御堂筋で高い賃料水準を維持している。一方、心斎橋筋商店街については新規出店こそ増えているが、賃料に関しては2019年当時の高水準には戻っていない。

 業種としては、飲食店が順調に回復。特に軽飲食の出店には勢いも戻ってきた。空中階については5エリア全体を通じて供給の多い状況が続いており、コロナ禍以降に積極的に出店してきたシェアオフィスの撤退もみられるなど「回復」という見方には至っていない。

■東京・大阪の主要商業エリアの賃料・募集件数の推移(2023年第2四半期)
フロア区分 銀座 表参道 新宿 渋谷 心斎橋
募集賃料
(円/坪)
全フロア 41,197 44,252 36,783 37,628 22,331
1F 71,651 55,355 53,889 58,500 33,952
1F以外 35,119 38,008 33,684 32,320 18,469
募集件数 全フロア 376 457 188 179 346
1F 55 145 35 35 73
1F以外 321 312 153 144 273
スタイルアクトが提供するReRemによる集計

ビーエーシー・アーバンプロジェクト